ピアノ練習方法・上達法〜ピアノが上達する子・長続きする子の特徴・共通点〜
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〜ピアノが上達する子・長続きする子の特徴・共通点〜

皆さんはピアノの上達の具合はいかがですか?長続きしているでしょうか?
あるいは皆さんのお子さん、周りのお子さんはいかがでしょうか?
自分はピアノを続けられるのだろうか、上達するのだろうか、自分の子供や教え子はピアノを習い始めたら長続きするのだろうか、 上達するのだろうかと気になる方は多いと思います。

皆さん自身がピアノが長続きし上達した上級者以上の方であれば自分自身の特徴を客観的に見つめ直してみるのも良いですし、 それではサンプル数が少ないでしょうから、自分の周囲でピアノ愛好者、ピアノ上級者、ピアノの達人がいれば、 その人たちの性格的特徴などを挙げてみて下さい。 「共通点」とまではいかなくても、その人たちには他の人たちと異なる際立った特徴を有していることも多いのではないかと思います。

ここではそのようなピアノが上達する子・長続きする子の特徴・共通点をあぶり出し、 それについて僕なりに考えてみます。

ピアノが上達する子・長続きする子の特徴・共通点

まず僕自身の独断と偏見で、ピアノが上達する子・長続きする子の特徴を列挙したいと思います。 これらはピアノが上達・長続きするための必要条件でもなければ十分条件でもなく、 あくまで「こういうものがあると長続きしやすい・上達しやすいが、そうとも言い切れない」という曖昧なものであることを、 まず予めお断りしておきます。

<<性格的傾向・才能>>
・ピアノが好き
・才能がある(記憶力・音感・リズム感が良い)
・飲み込みが速い
・意志が強い
・落ち着いている
・集中力がある
・根気強い
・情緒が豊か・感受性が強い
・目標がはっきりしている
・自己実現欲求が強い
・負けず嫌い

<<肉体的条件>>
・指先が器用
・手が大きい
・指が長い
・体力がある

<<環境>>
・音楽的な環境で育っている
・両親のどちらかがピアノに詳しい
・自宅に良いピアノがある(グランドピアノなど)

思いつくままに挙げてみましたが、こんなところでしょうか。まだこれがあるよ、とか、それはピアノの上達や長続きと関係ないのではないか、 という異論は色々あるかと思いますが、先程も述べたように、これらはピアノが長続き・上達するための必要条件でも十分条件でもなく、 あくまでこういうものがある子は他よりも長続き・上達しやすい傾向がありそう、というものを僕自身の独断と偏見で挙げただけです。 そもそもピアノが上達することと長続きすることは必ずしもイコールではなく、上達しないままダラダラと続けている人もいれば、 一瞬のうちに上達してしまう天才型の人もいます。 ただ一般的に言って長続きする人ほど上達しやすいと言えますし、その過程でピアノの上達を方向付ける明確な目標ができるチャンスが 到来する機会も増えますから、その分上達するチャンスも増えてきます。 その意味でピアノが長続きする人の方が上達しやすいのは明らかです。 そのようなわけで長続きする人の特徴と上達する人の特徴をここでは一緒くたにして列挙することとしました。

ちなみにここで挙げた特徴でも僕自身が当てはまるものと全く当てはまらないものがあります。 例えば環境については全く当てはまらないですし、指が長いという肉体的条件も全く当てはまらないです。 しかし性格的特徴については全ての項目が当てはまっているように感じます(才能については天才ではありませんが、まあまあありそうということで・・・ 一応該当することにしておきます)。

皆さんはいかがでしょうか。当てはまるものは多いでしょうか。

ここでは、上に列挙した特徴について僕自身の私見を述べたいと思います。

<<性格的傾向・才能>>

・ピアノが好き
ピアノが長続きすること・上達することにおいて、何よりも重要なのは、この「ピアノが好き」ということではないでしょうか。 いくら才能があってもピアノが嫌いであれば長続きするはずもありません。「好きこそものの上手なれ」ということわざもあるくらいですから、 やはりピアノが好きというのはそれ自体、ピアノが上達するための一番の特徴と考えます。僕自身もピアノが好きだったからここまで 上達できたのだと思っています。「下手の横好き」という反対のことわざもありますが、あまり気にしない方がよいと思います。 皆さんがピアノを上達したければ、ピアノを好きになることが第一と思います。ピアノが好きになるためには、どのようなことをすればよいのかについては 別のページを設けて持論を語りたいと思います。

・才能がある(記憶力・音感・リズム感が良い)
才能がある人の方がピアノの上達が速いのは当然です。 一口に才能と言っても色々ありますが、物覚えが良い人、音感が良い人、リズム感が良い人は明らかにピアノ向きです。 音楽的才能という、より次元の高い才能もありますが、それもこれらの基礎的な才能がベースになければ、 音楽的才能も開花しないことが多いと思います。

・飲み込みが速い
飲み込みが速いというのは「頭が良い」ということでもあり、これもピアノ上達の大きな要因です。 先生のアドバイスの意味をすぐに理解し、それを自分のピアノ演奏に反映させることができるのであれば、 その分、上達のスピードが上がるのは当然というわけです。

・意志が強い
一度やると決めたことをやり遂げる意志の強い人は、ピアノを始めたからには続けようという 強い気持ちが持続しやすいと思います。意志が強い人はピアノに限らず色々な方面で卓越した能力を身につけ、 発揮できる傾向があると思います。

・落ち着いている
特に子供には落ち着きのない子というのはどの集団にも一定数いるようです。授業中、じっと席に座っていることができず動き回ってしまう子、 ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠陥多動性障害)やその傾向がある子はピアノには全く向いていません。 ピアノは当然のことながらピアノの前に最低でも数十分じっと座って、落ち着いて練習することが必要で、 その習慣がついていないと上達は望めないからです。

・集中力がある
これは「落ち着いている」ということと関係があるものですが、1つの物事に集中して取り組める人はピアノの練習も 集中して取り組めるため、密度の濃い練習ができます。この集中力が持続できることも重要ですが、 まずはその時間に集中して取り組んで、短時間で成果を上げることができる人の方がそうでない人と比べて 上達のスピードが速いのは当然のことです。

・根気強い
これも「集中力がある」ということと関係がありますが、その意味合いが若干異なると思うため、このように別項目にしました。 「集中力がある」というのが、ある1つのことをその瞬間に神経を集中させて取り組める「瞬発力」だとするなら、 「根気強い」というのは、1つの物事を絶え間なく続けられる「持久力」と言えます。 集中力があり、その集中力を持続させる根気強さがあれば、ピアノの上達には理想的と言えますが、 なかなかそういう人はいないようです。

・冷静である・客観的判断能力に優れている
これは上級者になってからさらに上を目指す場合に大きなファクターになるものです。 自分の演奏の良い点と悪い点について冷静かつ客観的に判断できる人の方がそうでない人に比べて更なる高みに到達することができます。 自分の「先生」になったつもりで、より高い立場からメタ認知的に自分の演奏を批判的に聴くわけです。 それで「ここが今一つだ」ということが分かれば、それを細かく修正しより良い演奏に仕上げていくことができるわけです。 そのようなことの積み重ねがピアノにおいて究極の高みに到達する上で大切になります。

・情緒が豊か・感受性が強い
これはピアノの上達というよりも、ある一定のレベルに達した後、音楽的表現を求められるようになった際に 大きくものを言う能力です。同じ曲を聴いて、たくさんのものを感じ取れる人、泣いてしまうような人は、 鈍感な人とは比べ物にならないほど繊細で聴く人に感動を与えられる演奏ができるようになることは明らかです。 そのような感受性があると、将来的にピアノで大成するチャンスが大幅に高まります。

・目標がはっきりしている
ピアノにおいて何か具体的な目標がある人はその目標が達成できるまでは続けようと思うわけですから、 はっきりとした目標がある人の方がピアノが長続きし、その分、上達しやすいと思います。 僕の場合、ピアノを習い始めた時の目標は「エリーゼのために」を弾くことでしたが、 小学校4年生のある時点でその目標がショパンの「英雄ポロネーズ」に変わり、それが一大転機となりました。 「目立ちたいから」とか「尊敬されたいから」という目標では、ピアノ以外でもその目標を達成できる方法はいくらでもありますから、 なるべくピアノを続けることだけでしか達成できない目標の方がよいです。皆さんは ピアノにおける具体的な目標を自発的に持つことはできそうでしょうか。

・自己実現欲求が強い
これはピアノの才能とは関係ないですが、何か大きなことを成し遂げたい、何かで成功を得たいという 自己実現欲求が強い人はピアノにおいても大成したいと思う気持ちが強いのではないかと思います。 僕は大人しく控えめな性格ですが、実はこの自己実現欲求が人一倍強く、それが子供の頃、ピアニストになりたいという 途方もなく大きな夢を抱いた一因だと思っています。もっともピアノが好きで仕方なかったのが一番の要因ではありましたが・・・

・負けず嫌い
勝負事に負けるのが大嫌いな人は、ピアノのライバルに負けまいと頑張れるエネルギーをピアノに注ぎ込むことができるという 傾向はあると思いますが、これはあまり重要ではないかもしれないです。 あくまでもピアノを弾くことが特技であり自分のアイデンティティとして確立してくると、この「負けず嫌い」という 要素が生きてくるような気がします。 僕は自分が秀でている分野においては負けず嫌いですが、そうでない他の物事については負けてもよいと結構あっさりしたものです。 小中学生時代はピアノのライバルがいると結構燃えましたし、勉強や将棋も負けると自分に腹が立ったものです。

<<肉体的条件>>
・指先が器用
やはりピアノは指が器用でなければ弾けない楽器です。この器用・不器用は幼少期の早い段階でかなりの個人差があるそうです。 これはピアノを始めて1〜2年で判明すると思います。当たり前にできるようなことが「どうしてできないの〜?」 という子はピアノレッスンでも一定数いるようですが、残念ながらピアノに関しては素質はないと諦めざるを得ないと思います。 この指先が不器用な子というのは残念ながら女児よりも男児に多いようです。

・手が大きい
この項目は「手が小さくない」とした方がよいかどうか迷いましたが、 分かりやすくするために「手が大きい」としました。 ピアノを弾く上で手が大きい方が断然有利ですが、小学校6年生ほどでオクターブが何とか届くようになっていれば、 まず及第点と考えてよいと思います。ただ手が小さいのが原因でピアノを弾くのがつらくなってやめてしまったという人は結構いるようですので、 悲しいことではありますが、これもピアノが上達するか、長続きするかの大きな要因の1つではないかと思います。

・指が長い
ピアノは指が長い方が有利という説もあれば、あまり関係ないという説もあり、定まっていません。 指が長い方が少ない動きで色々なことができるという点で有利とする意見もあれば、指が長ければその分、その長い指を支える筋力が必要となり コントロール力が必要になる、逆に指が短い方がその分必要な腱の強さや筋力は少なくて済み、速い動きには有利で粒が揃いやすい、ということも言われています。 僕は指は短いですが、これより短かったらとてもピアノを弾く気にはなれないと考えることも最近は結構多いです。 だからかどうか、やはり最低限の指の長さがないと、ピアノを弾くのに苦労してしまい、続けるのが嫌になってしまうのではないかと想像できます。 指が長く細い人はその人なりの悩みがあるのだと思いますが、それは工夫次第で克服可能だと思います。 それに対して指の短い人は指を長くする方法はないわけですから(指の間の水かきの部分を切る手術もあるようですが、 本当にそんなことをしたらピアノが弾けない手になってしまう危険が大きいのではないかと思います)、 やはり指の長さにおいても「大は小を兼ねる」と言ってよいと思います。

・体力がある
ピアノは全身を使う運動ですから、それなりの体力が必要です。それなら女性よりも男性の方が有利なのではないかと思う方も いるでしょうが、ここで言う体力は絶対的な筋力のことではなく、持久力のことです。 これは見た目には全く分からないものです。大柄で屈強そうな人が意外に短時間の練習でバテバテになってしまうこともあれば、 華奢で小柄で一見すると全く体力がなさそうな人が、一体どこにそんな体力があるのかというほどのバイタリティで 長時間の練習を楽々こなしてしまう人もいて、見かけでは全く判断できないものです。 この体力がある人はその分、長時間の練習や演奏にも耐えられるわけで、ピアノの上達を左右する大きな要因の1つです。

<<環境>>
・音楽的な環境で育っている
良い音楽(クラシック音楽に限ります)が自然に耳に入ってくる環境で育った子供は、音楽を聴く耳が自然に育ちますし、 音楽に対する興味が自然に湧いてくる傾向があると思います。その分、音感やリズム感も自然に育っていると思いますし、 ピアノに対する興味も自然に湧いてくると思います。ピアノを始めてからも、良い音楽に触れる機会が多い方が、 上達するスピードは速いと思います。また音楽を聴くと、自分もこの曲が弾けるようになりたいという目標の曲、夢の曲に 出あえる可能性も高まり、モチベーションの向上にもつながります。

・両親のどちらかがピアノに詳しい
周囲にピアノについて詳しくて、ピアノの面白さを子供に分かりやすく伝えられる人がいると、 子供は自然にピアノに興味を持つようになると思います。その役割はできれば母親が担うのが理想的ですが、 父親でもよいと思います。僕はこの歳になっても家庭を持って子供が欲しいという気持ちが結構強いですが、 その役割を自分が担いたいと思っているほどです。

・自宅に良いピアノがある(グランドピアノなど)
良いピアノで練習できる人の方が上達が速いのは当然です。 しかしこれは家庭の経済的事情、住宅事情もあることですし、裕福な家庭に生まれるかどうかは全くの運ですから、 誰を恨むこともできません。僕はアップライトピアノで長年練習してきて、ショパンのあらゆる曲を そのピアノで弾いてきましたが、技術的には普通に弾けていました。 2005年ショパンコンクールを久々に満場一致で優勝したポーランド出身のラファウ・ブレハッチも浜松国際コンクールに出場するまでは 自宅にはアップライトピアノしかなかったそうです。要はその人の素質次第であって、 アップライトピアノでも極上のレベルまで到達できるということです。 「弘法筆を選ばず」といったところでしょうか。

以上、ピアノが上達する人・長続きする人の特徴・共通点について、僕自身の独断と偏見で項目を列挙し、 それらについて簡単に述べてきました。「そうそう、そう思う!」というものもあれば、「違うよ〜」というものもあるかと思いますが、 これはあくまでも僕自身の個人的な考えということで参考程度にご了承いただければと思います。

本当はここに書いたことは僕自身の考えのごく一部で、本当はそれらについてより深く議論したいところではありますが、 それは機会があったら、また別ページを設けてそこでじっくりと掘り下げてみたいと思います。

初稿:2017年6月16日

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