ピアノで上達できない原因その4・耳がよくない | ||
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〜ピアノで上達できない原因その4・耳がよくない〜「耳が良い」、「耳が悪い」という言い方は、「頭がよい」、「頭が悪い」という言い方と同様、 それを言う人の主観的要素が多分に入った言い方ですが、音楽を知っている人の間では この言い方を用いる場合、ある程度共通の認識があるように思えます。「耳が良くない」という悩みは、ある程度のレベルに達した人でなければ持ち得ない、高度な悩みだと 個人的には考えています。ピアノを知らない人、あるいは上級者になることに全く無関心の人は、 「ピアノの上達と耳の良さが密接に関連している」と言ったら、驚くかもしれませんが、 これこそ、ピアノ上達を支える、最大にして最重要の要因だと僕は思っています。 引き合いに出す例として適切かどうか分かりませんが、皆さんの身近な例はカラオケではないでしょうか? 調子の外れた人が、マイクを放さず得意げに歌を披露している、というのは、ありがちな光景ですね。 「音痴」というのは2種類いるようで、「自分の音痴を認識できない音痴(真性音痴)」と「自分の音痴を認識しつつ 訓練不足で矯正できない音痴(仮性音痴)」の2通りがあるようです。さらに後者は、「どこをどのように変えれば 正しい音程になるのかが分かる人」と「正しい音程で歌っていないのは分かるけど、どこをどう変えたら 正しい音程になるのかは分からない人」の2通りに分かれるようです。 つまり、何を言いたいかというと、自分の演奏の明らかな欠点(歌の場合は音程ですね)は、 誰でも自己認識できると考えがちだが、それができないケースが意外に多く存在する、ということです。 ピアノ演奏で言えば、ある程度ピアノに通じている人が聴けば、どう聴いてもお世辞にも上手とは言えない演奏 であっても、演奏者は得意げになって弾いている、という状況が存在するわけです。 このような演奏は、言ってみれば、「音痴なピアノ演奏」ですね。 この場合、この演奏には明らかな欠点があるにもかかわらず、演奏者はそれを認識できていない、 ということになります。認識できない、ということは、それ以上、その曲に関しては、上達は望めない、 ということです。 言い換えれば、音の粒の不揃いや不自然なテンポの揺れを耳で感じることができれば、その修正作業のために その曲を、本来のあるべき正しい姿に近づけるべく、更なる練習を続けることになりますが、 その段階で耳が「OK」と判断してしまえば、それ以上の演奏はもう望めなくなるわけです。 ここまで書けばもうお分かりではないかと思います。ピアノにおいて、「耳が良い」という言い方は、自分の演奏の欠点を 認識できる能力がある、という意味で使うわけです。自分の演奏を自己陶酔的にではなく、 客観的かつ批判的に聴くことができる耳を持っている、と言い換えてもよいと思います。 それも、「リアルタイムに」という重要な条件が付きます。 よく、「自分では結構上手く弾けていたつもりだったのに、録音して自分の演奏を聴いてみたら、 思いのほか下手で愕然とした」という人がいますが、これは、まだ耳が出来上がっていない証拠です。 究極的には、自分が今現在弾いている音楽と、それを録音した音楽が全く同じように聴こえるまで 耳の訓練をする必要があります。これができるようにならなければ、プロに近いレベルの演奏をすることは 到底不可能と考えられます。思い当たりのある方は、是非、耳の訓練を意識的に行ってください。
耳の訓練方法 「耳の良さ」は、一朝一夕に獲得できるものではありませんが、正しく優れた音楽に触れる機会を できるだけたくさん持つことで後天的に獲得できるものだと個人的には思っています。 耳の良さに自信がない方は、自分の演奏をよく聴きながら弾く習慣を付けてください。 その際、気をつけることは、主に、「音の粒が揃っているか」、「不自然なテンポの揺れはないか」、 「全体としてまとまりのよい演奏になっているか」等々、巨視的、微視的な、異なる観点から 自分の演奏を批判的に聴くことが大切です。そして、少しでも「おかしい」と感じたら、 可能な限り妥協せず、自分の今現在の技術の範囲内で、できる限り最高のものに仕上げようと 努力する姿勢が大切です。 その際、「正しい音楽」なのか「間違った音楽」なのかの判断基準が自分の中にできていることも 必要です。その判断基準の形成のためには、 プロの演奏家の優れた演奏をできるだけたくさん聴いて、 本物のピアノ演奏の在り方を自分なりに感じ取りつつ、楽しみながら耳の訓練をすることも必要ではないか、 と思います。 「ピアノの耳」というのは、非常に奥の深い概念です。レコードマニアのように、ただ良い音楽だけを 聴いていれば獲得できるという類のものではなく、ピアノを弾くことでしか得られない高度な能力です。 しかし、これは後天的に獲得可能なものだと思うので、皆さんも是非頑張って、 「ピアノを弾くための秘密の耳」を獲得するべく、頑張ってください!
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