ピアノ練習方法・上達法〜ピアノ上達の一般的コース〜 | ||
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〜ピアノ上達の過程〜バイエル・ツェルニー・全音ピアノピースに対する取り組み方〜ピアノの上達のコースは色々あるが・・・皆さんはピアノが弾けるようになりたい、上手くなりたいという思いを胸に、勇気を出してピアノ教室の門を叩き、 そしてピアノレッスンに通い続けている方が多いと思います。 導入教材から入ることもあれば、バイエル上巻から入ることもあり、様々ですが、 バイエル上巻・下巻が終われば、ピアノの上達コース全体の何割あるいは何パーセントが終了したことになるのか、 限りなくゴールに近いのか、まだまだ先は長いのか、初心者のうちは分からないものです。 何となく「先は長そうだ」と思うだけでは、なかなかやる気が出ないのではないかと思います。 技術的な最終到達地点を100とすると、今の自分はどの辺りにいるのか、ということが分かると、 自分が目指す地点まであと少しなのか、まだまだなのかが分かります。 そのためにはピアノ上達のコース全体を最初から最後までを初めに俯瞰して、 おおよその全体像を把握してしまうのが得策です。 ピアノ教育、教材は多様で、ピアノ教室・ピアノ教師によって使う教材は大なり小なり異なると思いますが、 僕が小中学生の頃、ピアノレッスンに通っていた某大手音楽教室では、使う教材はおおよそ決まっていました。 学習中の教材の名前を言えば、だいたいこのくらい弾ける人なのだということがある程度把握できる状況でした。 現在のピアノ教育界の状況はよく分かりませんが、僕がピアノを習っていた当時は指のメカニック(機械的技術)はハノン、 根幹の練習曲はバイエル上下巻・ツェルニー100番→30番→40番→50番→60番、 音楽性習得のための副教材はバイエル・ツェルニー100番に対してはブルグミュラー25の練習曲、 ツェルニー30番・40番に対してはバッハのインヴェンションとシンフォニア、 ツェルニー50番・60番に対してはバッハの平均律クラヴィーア、モシュコフスキー、クラ―マー・ビューローといったところが定番でした。 また音楽性習得の教材として、全音ピアノピースを用いるのも一般的でした。 ここでは、そのような練習曲集・教材と上達の道筋について全体像を概観したいと思います。 ピアノ作品の難易度として馴染み深いのは、やはり全音ピアノピースの難易度ランクではないでしょうか。 難易度順に最も易しいA(初級)から最も難しいF(上級上)までランク付けされています。 具体的には、初級(難易度A)、初級上(難易度B)、中級(難易度C)、中級上(難易度D)、上級(難易度E)、上級上(難易度F) といった具合です。 全音ピアノピースの難易度は、テクニック上の本来の難易度との乖離が甚だしいものが多く、 僕自身は大いに疑問に感じていますが、一応の目安とはなりえます。 ピアノの上達の道のりは長く、実は上級上(F)に到達してからが結構長く奥が深いと思うのですが、 ここでは導入期を除いて、A、B、C、D、E、Fと均等に6等分して、それぞれのレベルで用いられることの多い教材を列挙したいと思います。
0.導入期 皆さんもご存知、ハノンは指の機械的な強度と運動神経を鍛えるのに特化した教材で、 だいたいバイエル終了直後から使われるのが一般的のようです。 ハノンはツェルニーの練習曲と併用して長期間使われるため、上記の一覧には書き加えませんでしたが、 非常に大切な基礎訓練教材です。 ハノンは左右の10本の全ての指に均等に負荷を与え、均等に鍛えるという理念で作成されているようで、 本物のピアノ演奏に必要なテクニックから乖離している印象がありますが、 それだけに、特に弱い4指、5指を鍛えること、指の強度と独立性を鍛えるには良い教材だと思います。 以上のピアノ上達の過程を概観してみると、バイエル、ツェルニーの練習曲がピアノの上達の過程で中心的存在となっていることが分かると思います。 ツェルニー練習曲のカール・ツェルニーはベートーヴェンの弟子でフランツ・リストの師匠であったという事実からもお分かりの通り、 ベートーヴェン→ツェルニー→リストという系譜が存在しています。 ツェルニーの練習曲で指を鍛えると、ベートーヴェンやリストなどのバリバリ系の作品で強い指を活かした技巧系の作品を大音量で 弾くのが得意になります。 一方で、ショパン、ドビュッシー、ラヴェルなどの系譜の作品については、実はツェルニーの練習曲で鍛えたテクニックは役に立たない部分が かなり多いとも言われており、それらの作品を音楽的に演奏するには個別に習得すべきテクニックのパターンが結構多い印象です。 だからかどうか、最近はツェルニーの練習曲の重要性を疑問視するピアノ教育者も多く、ツェルニーの練習曲を全く使用しない先生、教育者もいるようです。 何も考えずに何とかの一つ覚えのようにバイエル、ハノン、ツェルニーの練習曲を使い続けるピアノ教師に比べるとまだマシなのかもしれませんが、 これらの練習曲の特徴と足りない点を十分に把握しつつ、他の教材とのバランスを考えながら、 上手く使い分けるのが適切な指導法だと思います。 これができるかどうかがピアノ教師の腕の見せ所ではないかと思います。 それでは、そのようなことを念頭に置きつつ、ピアノ上達コースについて初級から順に見ていきたいと思います。
初級(難易度A)バイエル上巻・下巻について ピアノを習い始めると音感・リズム感を養成するための導入期を設ける場合もありますが、間もなく始まるのがこのバイエルです。 「ピアノを習い始める」と言えば、それはイコール「バイエルを始めること」と言っても過言ではないほど、バイエルは定番中の定番です。 バイエルは曲数にして106曲と非常に多く、これを最初から几帳面に順番通り106曲弾いていくことになります。 最初のうちは♯や♭の付いていないハ長調で譜読みが非常に易しく、1週に数曲ずつ進めることもできるほどだそうです。 一般的に、ピアノの超初心者の最初の関門は両手で弾くこととヘ音記号の譜読みと言われます。 最初のうちはト音記号の楽譜を右手で弾くだけで、これに慣れればスラスラ進みますが、 途中からヘ音記号も出てきて、しかもそれを左手で弾かなければならず、2段譜を両手で弾くという複雑な作業が必要になります。 ここでつまずいてしまう子が結構多いようです。 僕は前述したように、導入期は「オルガン・ピアノの本1〜4」を使用していて、 その中で両手で弾くことを覚え、ヘ音記号の譜読みにもある程度慣れた状態で1年目を終え、2年生になっていました。 1年生の春休みに引っ越ししたのを機にピアノ教室も変わり先生も変わりましたが、 その先生はバイエル派で、オルガン・ピアノの本4の途中で、バイエル79番から入りました。 そのようなわけで僕自身はバイエルの上巻については全く知らないのですが、既に79番はそれなりに難しかった記憶があります。 80番は♯2つのニ長調である上になじみの薄い三拍子の曲で右手の最初が休符からのスタート、しかも装飾音、両手の交差が出てくるなど、 結構な難易度で、あろうことか3週間もかかってしまいました。 実はこの80番前後でつまずいて一定数の脱落者が出るということです。ここが最初の関門ということです。 その後はそれなりにすらすらと進みましたが、79番から106番までに 約1年という今考えると当時の僕に「そんな雑魚相手に何やってるんだ」と叱りたくなるほどの超スローペースでした。 最終的にバイエルが終わったのは小学校3年生の前半だったと思います。 つまりピアノを始めてからバイエル終了までに2年と少しかかったことになります。 これは今の僕のピアノ演奏レベルを考えると、ちょっと信じがたいほどの超スローペースです。 「ピアノを始めたばかりの頃にこんなに進度が遅くても、最終的にはこのような人になれるんだ」と思うと、勇気が出てくるのではないでしょうか? もちろん中2以降、才能が爆発的に開花してからは、誰も手を付けられないほどに上達してしまいましたが、 その可能性を秘めているかどうかは、小学校低学年の時点では判断できない場合もあるということです。 そう言えば、バイエル終了したら、家族でお祝いパーティーを開いてくれるという話でしたが、 知らない間に流れてしまいました。そして今まで35年以上の時が流れてしまいました。 今更ではありますが、バイエル終了のお祝いパーティー、やってもらおうかな・・・ それはともかく、バイエルはピアノ初心者が最初に超えるべきハードルです。 これを乗り越えた方は、きっとピアノの適性はそこそこあると考えてよいと思いますし、自信をもってよいと思います。 僕の場合、バイエル終了と同時にツェルニー100番練習曲とブルグミュラー25の練習曲に入りましたが、 このツェルニー100番練習曲はものすごい関門でした。何と言っても曲数が多い、これをまともにやったらと思うと先が見えない・・・ しかしインターネットでピアノ上達のコースについて色々検索してみると、バイエル終了後はブルグミュラー25の練習曲だけで、 ツェルニー100番を使わないことも多いらしいということが分かりました。 僕はいらぬ苦労を強いられたと思うと、悔しいですが、それだけに強固な基礎が固まったということでもあるわけですから、 これも一長一短ですね。
初級上(難易度B):ツェルニー100番練習曲について バイエル上巻・下巻というピアノ学習者最初の関門を突破して、達成感と優越感に浸ったのもつかの間、 次にピアノの先生に渡されたのはツェルニー100番でした。バイエルと同じ要領で進めていけばよいとは言うものの、 バイエルに比べると1曲1曲が非常に長くなり、1曲に費やす時間がかなり長くなります。 僕の場合、指の運動神経はそこそこありましたが、譜読みがネックになっていたようで、1〜2週で1曲というペースでした。 ツェルニー100番全曲課題に出されていたら、おそらく3年以上かかり、それだけで小学校6年生になっていたと思うのですが、 ピアノの先生は必要ないと判断した曲はどんどん飛ばしてくれました。 当時使っていた古い楽譜を見ると、実際に弾いたのは60曲程度で、40曲は飛ばしていました。 小学校4年生のゴールデンウィーク頃に25番を弾いていたという記憶が残っているので、 取り掛かった曲数からみれば、この辺で半分程度ということになります。 僕はこのツェルニー100番練習曲を終了したのは小学校5年生の初めでしたので、2年弱で切り抜けたことになりますが、これは このタイミングでピアノの先生が代わったことも一因にはあります。 色々ツキが味方してくれたようで、モチベーションが低下するギリギリのところで、 このツェルニー100番練習曲との長い付き合いが終わったのは本当に幸運でした。 ピアノを学習者の多くが感じていることだと思いますが、同じ教材と付き合う時間が長くなってくると、 モチベーションがどんどん下がって、やがてマンネリ化してしまうと思います。 とは言うものの、ツェルニー100番練習曲の中にはそれなりに重要な練習曲もありますから、飛ばし飛ばしというわけにもいかず、 その判断、バランスの取り方が難しいところです。 このツェルニー100番練習曲と付き合う期間は、自家用車の寿命と似たような考え方をするのがよいと思います。 自家用車の場合、個人的には10年または10万キロの先に来た方を寿命と考え、乗り換えを検討していますが、 それと同様にツェルニー100番練習曲の場合は寿命を2年間に設定するのがよいと思います。 2年以内で終わらなさそうであれば、必要なさそうな曲を適宜飛ばして、2年で最終曲(100番)に到達できるように 取り上げる曲数を調整します。そうすることで、マンネリ化、モチベーション低下による進度の減速をある程度防ぐことができます。 それでもこのツェルニー100番という曲数は何とかならないでしょうか。僕は何とかこれを乗り越えて、 小学校5年生の早い時期にツェルニー30番に入ることができましたが、それができずにツェルニー100番の途中で そのあまりの道のりの長さにやる気を失って、脱落してしまう人は結構多いのではないかと想像します。 これを乗り切って、晴れてツェルニー30番に入れる人は、ピアノを習い始めた人のおよそ10〜20%程度ではないかと推測します。 逆に言えば、ツェルニー30番練習曲に入れる人は、ピアノ弾きとしてはそこそこ選ばれし者ということになります。
初級の副教材について
@ブルグミュラー・25の練習曲 これは練習曲というよりも、ツェルニーの無味乾燥な練習に対して、音楽性養成の目的も兼ねた教材だと思います。 もちろん僕もこれら25の練習曲は全て弾きました。小学校3年生〜4年生の半ば頃でこの曲集は一通り終えました。 特に「アラベスク」、「貴婦人の乗馬」などが記憶に強く残っています。
Aソナチネアルバム これは小学校5年生が始まるのと同時に始まったので、その時にやっていたのはツェルニー100番練習曲の最後の方だったと思います。 ソナチネというのは「小さいソナタ」という意味で、ここにはクーラウ、クレメンティ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどの古典派の 易しい小規模のソナタが収めされています。小学校5年生の最初の頃にクーラウ、クレメンティなどの作品を弾いていた記憶がありますが、 「古き良き時代の音楽」という印象はあるものの、それまで弾いてきた曲よりも本格的にピアノを弾いている気分が味わえる作品ばかりで、 個人的にはやりがいがありました。 ソナチネアルバムの2大名曲、モーツァルトのソナタハ長調K.545とベートーヴェンのソナタト長調Op.49-2も小学校5年生後半から6年生前半にかけて弾いていました。 この教材は中1の初め頃まで使っていましたが、全曲は弾きませんでした。
中級(難易度C):ツェルニー30番練習曲について ツェルニー30番、ここからは中級となります。僕がピアノを習っていた1980年代は、全音楽譜出版社の楽譜は、 難易度別に色分けされた帯が付けられて、ビニールカバーされていたのですが、帯の色は初級はオレンジ色、中級は黄色、上級は青色でした。 このツェルニー30番の楽譜を渡されたときは初めての黄色帯で感激したのを覚えています。 たったこれだけのことで感激するとは、と当時の僕が嫌になりますが、こういう1つ1つのことがピアノに向かう大きなモチベーションになるほど、 子供というのは単純なものです。難易度のよる帯の色分けは、そんな子供の単純な心理を上手くつかんでいたと思います。 ツェルニー30番練習曲も最初のうちはツェルニー100番練習曲の最後の方の曲に比べて譜読みはむしろ簡単な曲が多く、 それなりに進んでいたのですが、この練習曲、一時中断を余儀なくされました。 小学校6年生になり、ミュージカルや町の音楽界のピアノ伴奏者として引っ張りだこになり、 肝心かなめのピアノのレッスンのための練習時間が確保できない状況に陥ったからです。 ピアノ伴奏自体は僕にとって結構易しくて、ある程度の練習でさっと弾けるようになったのですが、 放課後の全体練習などで帰宅時間が遅くなり、ピアノの練習が全くできない日もあり、焦りが募っていました。 しかし僕がピアノを習っている意義はまさにこのようなところにあると考えて、 先生からピアノ伴奏を頼まれれば基本的には断らずに積極的に引き受けていました。 ピアノの先生はそんな状況にややご不満のようで、「ピアノ伴奏の依頼も少しは断って、家でのピアノの練習時間も確保してほしい」とも言っていて、 その都度、僕は謝っていたのですが、先生も仕方がないといった様子でした。 この時期は、ピアノの先生も僕もピアノのレッスンはお互いやる気がないといった状況でした。 少し先の話になってしまいますが、僕はツェルニー30番を終えるのに、休止期間も含めて2年を要してしまい、何と中1の冬休みまでかかってしまいました。 ものすごい足踏みです。学校のピアノ伴奏を引き受けていなければ、というタラレバも考えてしまいますが、 ピアノ伴奏によって僕自身のピアノ弾きとしての評価は確固たるものとなったわけですから、仕方がなかったと諦めることにします。 それはともかく、ツェルニー30番練習曲まで到達するということは、そういうことです。 小学生の場合、ここまで到達できていれば、町の音楽会や学校の歌の伴奏などで大活躍できるレベルです。 ピアノの発表会でもショパンのワルツ第3番(Op.34-2)、小犬のワルツ、ワルツ第7番(Op.64-2)、ワルツ第9番(Op.69-1)、ワルツ第10番(Op.69-2) などは弾けるレベルになっています。ちなみに僕が小学校6年生のピアノの発表会で弾いたのはシューベルトの即興曲変イ長調Op.90-4でした。 ところで、このツェルニー30番練習曲を弾かれた方にお尋ねしたいのですが、皆さんは指定のテンポで弾いていましたか? あまり気にしていないという方は是非、指定の速度表示を見てみて下さい。あまりの速さに唖然とすると思います。 もちろん僕はこのテンポまで上げずにマルをもらって次に進んでいました。 逆にこれが指定のテンポで弾けるようなら、上級者と呼んでも良いように思います。
中級上(難易度D):ツェルニー40番練習曲について 僕がツェルニー40番練習曲に入ったのは中1の冬休みでした。 実はその前のツェルニー30番練習曲の最後の8曲、何と2か月で駆け抜けてしまいました。僕の中で何かが変わったのをこの時に感じました。 そしてツェルニー40番練習曲に突入してからもそのペースは続きました。やや中だるみの時期もありましたが、中2になってから、 僕は「練習の鬼」となり、独習で貪欲にレパートリーを広げる他、ツェルニー40番も1週に1曲仕上げてレッスンに持っていくというペースを守り、 そのペースは全く崩れませんでした。そして何とその年の年内一杯で40番が終わってしまいました。 僕の場合、ツェルニー40番の練習曲は技術的に困難を感じる部分は全くなく、譜読みさえ乗り越えられればそのまま仕上がってしまいました。 これはツェルニー40番練習曲に限ったことではなく他のツェルニーの練習曲についても言えることで、 僕の場合、進度のネックとなっていたのは指のテクニックではなく譜読みのスピードであることが分かりました。 そのせいかどうか、僕は進度の割には難しい曲を弾ける技術を持っていたようでした。 例えば、僕はこの年、つまり中2の6月頃に革命のエチュードと幻想即興曲に着手したわけですが、 どちらも半月から1か月程度で通常のテンポで弾けるようになってしまいました。 ツェルニー40番を弾いている他の人がどの程度の難易度のピアノ作品を弾くのかは分からないのですが、 僕の場合は例外的に難易度の高い曲が弾ける特殊な能力があったようで、それはピアノの先生も認めていました。 このように僕はここからピアノに目覚めたわけですが、一般的に言ってツェルニー40番練習曲は、ツェルニー30番練習曲と比べて 難易度が高いようで、終了までに時間がかかるようです。 しかしここまでくればもうかなりの腕前ですし、僕のように学校でもピカイチのピアノ弾きになっていて、 ピアノ弾きとしてのアイデンティティも確立してピアノ弾きとして学校中の有名人になっているでしょうから、 モチベーションは上がる一方だと思います。 ここまでくれば、ピアノの達人の領域も見えてきます。
上級(難易度E〜):ツェルニー50番練習曲について そのようなわけで、僕がツェルニー50番練習曲に突入したのは中2の冬休みでした。 この頃、ショパンのエチュード全曲もよく聴いていて、これらもいずれ全部弾くときがくると思っていたため、 ツェルニー50番の楽譜とともに近くのデパートの書店で購入しました。その時、店員さんが「こんなすごい曲を弾くんですか?」と聞いてきました。 おそらく店員さんは、この楽譜の曲を僕が弾くのではなくて、僕が誰かに頼まれてお遣いに来たのではないかと思っていたのだと思います。 僕は「今は弾けないですけど、これから弾こうと思っています」と答えると、店員さんに「天才だ!未来のブーニンだ!」と言われてしまいました。 田舎のデパートでこんな楽譜を買う人はまずいないはずなのに、何故か置いてあるのが不思議でしたが、それはともかく、 こんな田舎で、大人でも弾けないような難曲の楽譜を、あどけない少年がレジに持って行って購入するところを見て、店員さんは驚いたのだと思います。 それほど僕はピアノ少年として、際立った存在になっていました。 中1後半から中2にかけての急成長ぶりは自分でも びっくりするほどでした。既にこの時期、僕はショパンの革命のエチュードを手中に収め、幻想即興曲、華麗なる大円舞曲などの上級レベルの曲も ものにしていました。 しかしその僕にとってもツェルニー50番は結構大変でした。難易度的には大したことはないのですが、ツェルニー40番練習曲と比べて 1曲の長さが1.5倍〜2倍ほどになり、当時の僕の譜読みとテクニックの能力をもってしても1週間で1曲がせいぜいでした。 そして中3になり高校受験に向けた学習塾の勉強が忙しくなりピアノの練習時間が激減してからは2週間に1曲というペースに落ちてしまいました。 僕は最終的にツェルニー50番練習曲は22番まで終了して、高校受験の大事な時くらい、ピアノを休んで勉強しなさいと親に言われ、 強制的にピアノレッスンを中断させられてしまいました。従って、ツェルニー50番は僕にとって終了していない、やりかけの練習曲です。 その後も僕はピアノに向かう日々でその後もかなりの速度で上達していましたが、それは好きな曲を弾くことと、 その曲の中に出てくるパッセージを自分の練習材料にすることで、練習曲の代わりにしていました。 ツェルニー50番の後は、ツェルニー60番練習曲もありますが、ここまでは必要ないと思います。 既にツェルニー50番練習曲のレベルになると、モシュコフスキーやクラ―マー・ビューローの練習曲や バッハの平均律クラヴィーア曲集、ショパンのエチュード、ベートーヴェンのピアノソナタの難しい方の曲など、 取り組むべき音楽的作品が増えてくるため、あえてそれ以上、無味乾燥な機械的な練習曲に取り組む意義が薄れてきます。 あとはそれまで培ってきた基礎技術を維持するとともに、音楽的表現を追求していくことになります。 ここまで、僕自身のピアノ上達の過程を振り返ることで、ピアノ上達のコースの全体像を概観してみましたが、 実はここには書ききれないほど様々な苦難を乗り越えて、ピアノ弾きとしての自分を築き上げました。 当然のことですが、これで終わりということではなく、今までのピアノに向かっていた時間は、 むしろツェルニーの練習曲とお別れしてからの方がはるかに長いわけで、僕自身のショパンのレパートリーの大部分はその後、着手したものです。 そう考えると、上級に達してから先の方が道のりは長いと言ってよいと思います。 皆さんは初級・中級・上級という括りでピアノの上達の過程を考えていると思いますが、 実は上級に到達してからの方がピアノにおいて学ぶべきこと、身に付けるべきことが結構多いと感じます。 それがピアノの奥の深さであり、大きな楽しみでもあると思っています。 皆さんもまずは上級に到達できるように、日々練習に励んで下さい。ご健闘をお祈りしています。
ツェルニー50番以降の主な教材 〜〜〜ここからツェルニーの練習曲を少しでも早く進めたいと思う方だけが対象です〜〜〜 ツェルニーの練習曲で貴重な時間を費やされている皆さんは、曲を弾く前にそれがどんな曲かが分かれば、 もっと早く仕上がるし、速く進めるのに、と嘆いている方が多いと思います。 しかし、実はそんな皆さんのご期待に応えるアイテムがあるんです。 実は、ツェルニーの練習曲に模範演奏のCDがあることを皆さんはご存知でしたか? クリストフ・エッシェンバッハというピアニストの模範演奏CDです。 興味のある方は、是非、下記リンク先をご覧になって下さい。
〜〜〜全音楽譜:ソナタアルバム1の収録曲の模範演奏のCD〜〜〜
ソナタアルバム1の収録曲の模範演奏のCD
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