ショパン演奏
〜ラヴェル〜
 
亡き王女のためのパヴァーヌ:演奏時間 5' 25''

ラヴェルの作品は、一般のピアノ愛好者には手が出ないほどの難曲が多いのですが、その中にあってこの曲は 難易度があまり高くなく、一般に親しまれている作品です。「亡き王女」というやや意味深なタイトルですが、 作曲者本人によると、実はあまり意味はなく、言葉の調子(語呂の良さ)が理由だとか…。 ベラスケスの描いた「王女の肖像」にインスピレーションを受けたとも言われています。 ラヴェル学生時代の作品で、作曲者本人によるとあまり気に入っていなかったそうですが、 皮肉屋でも知られる彼のこと、それが本心だったと決めつけることはできないようです。 ちなみに「パヴァーヌ」というのは、スペイン由来のテンポの遅い2拍子系の宮廷舞曲です。 美しく感傷的な旋律が心にしみる曲で、主題が登場するたびに内声の伴奏音型が複雑になっていき、 その間に、はかなげな響きを持つ挿入部が置かれています。ラヴェルにしては珍しく、調性感が濃厚ですが(ト長調)、 本曲で使われている斬新な響きを持つ和声には、ラヴェルの個性も現れています。